陽子線治療の体験記録その2

まっさんの先進医療奮闘記アイキャッチ 医療
まっさんの先進医療奮闘記

陽子線治療入院前の準備

 10月31日、入院前の準備として「固定具」を作る工程があるというので名古屋私立大学附属西部医療センターの「名古屋陽子線治療センター」に行くように指示された。紹介ページにあるように本館と2階の通路で結ばれた3階建ての建物で、巨大な陽子線治療装置2台プラスを収容するために建築された専用棟だ。「HITACHIの陽子線治療システム」が平成25年から稼働していたらしい。全く知らなかったのだけれど。
 まず最初は看護師さんが治療室への出入り方法について教えてくれた。一階の受付で受診票を見せると治療エリアへの入室カードを渡される。それをリーダーにかざすと自動ドアが開く。スマホや時計・カギ・財布など余計なものはロッカーに入れ、装置直径が10メートルもあるという回転式のガントリー=陽子線照射室へ入る。
 写真が一階に展示されているミニチュアだがガントリー1・2と二部屋がある。
 先ほど10メートルと書いたが治療台を中心とした円筒部分の内径は4メートルはありそうで、その装置が地下1階から2階にかけて収まっている。
 診察台が円筒の中にスルスルッと入っていって輪切りのレントゲン画像を撮影するCTという撮影機器をバカでかくしたようなイメージである。始めてみるとビックリして圧倒される。ちなみに1台数十億円ものシロモノららしい。治療費用が280万円以上もかかってしまうのもうなずける。
 陽子線を照射するためにはピンポイントで位置決めをする必要があり、治療中に患者が動かないように「固定具」を作るのだという説明。上半身服を脱いで実際の診察台の上に横になると「吸引式固定パック」という樹脂製の布団圧縮袋を巻かれ空気を抜くと袋状のものが固まって型取りは終わった。分かり易いイメージは野球のキャッチャーが身に付けている防具のような感じで、首から上と腕とヘソ下が出るように胸全体をカバーする形になっている。この固定具は治療する部位によって形が変わってくるのだろうが、オイラは肺ガンだったため胸全体になったようだ。

固定具作成指示書

固定具作成とCTシミュレーション

治療開始案内書

ガンの陽子線治療とは

 ガンの陽子線治療というとレーザー光線で焼き切るようなイメージを想像しがちだ。体表面にあるガンはそれで良いのかも知れないが、オイラのように体内のガンにレーザーを照射すると、皮膚表面から患部までレーザーで焼き切られてしまう。痛いどころの騒ぎでは済まない。そこで陽子線治療では体表面から○○㎝入ったところだけでガン細胞を焼く?というとんでもない技術が使えるらしい。そうすることで体内のガン部分だけをピンポイントでやっつけることができてしまうというのだ。参考図をイメージして頂ければ分かり易いと思うが、陽子線Aと陽子線Bが交わる箇所だけでガン組織をやっつけることができるようだ。何と!素晴らしい。

治療中はピクリとも動いちゃダメなの?

 賢明な皆さん方はもう理解されたことと思うが、一般的なレントゲン撮影の時は「ハイ、息を止めてー」といった感じで一時的に呼吸を止めるだけで撮影は完了するのだが、陽子線治療というからにはある程度の時間ずっと照射しないといけないだろう。陽子線を照射している時に患者が動いてしまうと患部以外に照射されてしまい大変なことになる。従って患者ごとに体型に合わせた金型のような治具が必要になるというわけだ。ちなみに、陽子線照射装置は呼吸に合わせて胸の上下動などは自動的に補正される仕組みのようだ。すんごい!。ちなみにオイラの場合は3方向から照射するために1回につき20分ぐらいは固定されていた。
 作られたその型は治療が終わるまで使われることになる。

タイトルとURLをコピーしました