美味しい蕎麦の見分け方

プ知恵

今回は日本食文化の一つ 蕎麦のお話

 古くから食べられてきた日本の食文化、蕎麦。特に農作物が育ちにくい山間部ではミネラルたっぷりの蕎麦は健康維持に欠かせない重要な食べ物で、今や広く健康食品としても注目を集めている。
 蕎麦といえば皆さんはどういう食べ物を連想するのだろうか。「そんなの決まってる、そば粉を練って作った麺類だろ?」とおっしゃる方が大半と思う。中には「中華そば」という答えもあり得るが、この中華そばはさておいて今回は「日本そば」を話題に挙げてみた。
 果たして皆さんは本当に蕎麦を食べていますか。ん?何を言ってるんだコイツは。まるで私たちが蕎麦を食べていないみたいな事を言ってるんじゃないか。と感じられるかもしれない。そう、皆さんが日頃食べたと思っているのは実は蕎麦ではない、というのが今回のお話。

それって本当に蕎麦ですか?

 皆さんは食料品店で「蕎麦」を購入する時や外食などで「蕎麦」を注文する時、原材料の成分に注意を払っているだろうか。オイラのようにウルサい輩を除けば殆どの人が「そば」と書いてあるだけで「蕎麦」だと思い込んで購入したり注文していることだろう。だが、それって殆どが「うどん」だって知ってますか?

 最初の写真をご覧あれ。これこそ正真正銘の「蕎麦」。これはオイラが本当の蕎麦を食べたくなった時に購入する更科製麺の「十割とわりそば」。そば粉以外の材料を一切使用しない正に「蕎麦」なのである。このそばを茹でると茹で湯がみるみる白濁してくる。つまりそば粉が溶け出してくるのである。当然、蕎麦と共に正真正銘の「そば湯」を美味しく頂くことができて他に類を見ない大変にありがたい貴重な商品だ。
 あまた有る「そば屋」さんで提供されるメニューにしろ、店頭で売られている「蕎麦」と名打った商品の中でそば粉だけ、つまりそば粉を100%使った商品は殆ど巡り会えない。

 こちらの写真は同じ更科製麺が「そば」として販売している乾麺の成分表示だが、何か気付きませんか。左から「小麦粉、そば粉、山いも粉末、食塩」。そう、賢明な方はすぐに理解できると思うが、そば粉より小麦粉の方が多く含まれている。配合比率の多い順に表示しなければならないから。
 蕎麦なのに小麦粉を配合しなければならない理由の一つは、そば粉のみを使って蕎麦を作るのが非常に大変な作業だということ。そば粉には粘り気が殆ど無いため製麺に熟練が必要だ。試しに練ってみれば解るが、一般的には「つなぎ」と言われる粘り気を出す成分「小麦粉」や「山芋」を混ぜないと、麺がボロボロに切れてしまい形にならない。そば粉は小麦粉に比べて高くつくから小麦粉を多くすれば原材料費は低く抑えられ利益が出る。ほんの一部の店を除いて多くの外食店で「そば」として販売されている物の多くは、その成分の大部分が小麦なのだ。

そんなのは蕎麦ではなく「そば風味うどん」だ

 小麦粉を主原料とする麺類は何ぁ~んだ? って聞いてみれば、うどん・素麺・ラーメン・パスタなどの答えが返ってくるだろうが、蕎麦と答える人はまず居ないだろう。つまり、蕎麦の成分が小麦粉だと思っている人は殆ど存在しないハズだ。にも関わらず巷で流通している「名ばかり蕎麦」の主原料は小麦粉…。オイラはそういったまがい物を「そば風味うどん」と呼ぶことにしているが。
 過去にも記憶の有る範囲では、「コーヒー牛乳」「ブルネイエビ」など、おやっ?っと思う話題がちょくちょく取り上げられたが、ここに提示した「そば」と表示して販売されている商品は一体何と呼べば良いのだろう。
 ただ残念なことに、ここ名古屋では子供の頃からそういった混ぜ物のそばを食べさせられた影響だろうか、本物の蕎麦より小麦粉たっぷりの麺の方がツルツルしていて美味しいと仰せの方も非常に多い。特に子供には純蕎麦よりも小麦粉主原料のそば風味うどんの方が好まれる傾向も残念ながらあるのは確かだ。
 蕎麦専門店でない限り、多くの外食店でメニューとして提供されているのは実は蕎麦ではないケースが多く見受けられる。また、そういった店の中には「そば湯あります」なんて謳っている店があったりして、試しに持ってこさせると案の定そば粉をわざわざお湯に溶かしたやつを仰々しく湯桶ゆとうに入れてきたりする。(笑)そばもうどんも同じ鍋で茹でているような店がそば湯など出せる訳がないのに…。恐らく生半可な耳学で「そば湯を出してる店のそばは旨い」なんてのを信じているのだろうが、客も店も。
 次回はオイラが旨いと思っている店を紹介してみようかな。小牧市にある「稲光」は紹介済みですが

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