陽子線治療の体験記録その3

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まっさんの先進医療奮闘記

入院初日

 11月9日に8階の内科病棟に入院すると、入院中の心構えや治療の方法などの説明があり、その後すぐ採血など検体検査を受けた。
 現在の西部医療センターは以前北区にあった「城北病院」と中村区にあった「城西病院」が平成20年(2008年)に閉院し、平成23年に現在の新築箇所に移転・合併・開院したものです。陽子線治療センターは平成25年(2013年)に治療を開始したとあります。
 余談になるが、9日が木曜日で11日から休診のため二日分の着替えと備品しか持ち込まなかったが、土日曜日は帰宅できるつもりでいたところ外出は一切禁止と言われて予定が狂ってしまった。様子を見て足りないものを用意すれば良いかな?と考えていたからだ。慌てて近隣に住む従妹さんに連絡してみたところ、自宅へ行ったりして必要(と思われるもの)を調達していただいだ。ホントに本当にありがとうございました。

入院病室はいろいろ

 オイラが入ったのは大部屋と呼ばれる4人部屋の病室で部屋代は追加料金なし。トイレ・シャワー・有料電話がある一般個室は一日7,000円(税別:以下同)と8,000円の2種類、8階には特別個室Aという部屋もあり、床頭台・洗面台・トイレ・浴室・ミニキッチン(冷蔵庫・電磁調理器付)・テレビ・金庫・クローゼット・電話(市内無料)・応接セット・ライティングデスク・リクライニングチェア付きで日額20,000円、25,000円出せば書棚と貸し出しノートパソコンまで付けて特別個室Sという部屋も一部屋だけある。なお産科病棟には一日15,000円で利用できる特別個室Bというのもあるようだ。

西部医療センター内で使えるインターネット

 特別個室だけはNAGOYA Free Wi-Fiが繋ぎっぱなしで快適に使えるようだ。その他の病室でも繋がるがフリーアクセスのため回線混雑で約5分間隔でログインし直さねばならない。あとWi2も接続できるが登録が必要。

入院初日

 そんなこんなで早速10日から陽子線治療が実際に始まった。下が病院が作ってくれた治療スケジュールだ。

11月の予約カレンダー

治療予約カレンダー2023年12月

1月の予約カレンダー

治療予約カレンダー2024年1月

 12月から1月にかけて合計35回の治療スケジュールが休日を除いて組み込まれている。10日の13時20分に陽子線科に来るようにと手書きでメモがあるが、これは放射線科の担当医や看護師さんからCT画像を見ながら治療の詳しい説明や治療前後の非常に細部に渡る注意事項をレクチャーされていたからだ。入院病棟から陽子線センターへ行くには2階の渡り廊下を通って別棟へ行き、エレベーターで1階に降りて受付へ受診票を提出する。
 いよいよ10日から陽子線治療が始まった。陽子線センターの受付でカードキーを受取り中へ入り持ち込み禁止の持ち物(病室の鍵付きワゴンのカギ等)をロッカーに入れ、上記のカレンダーその他の参考書類を持ち歩くための専用バインダーファイル一式をカウンター受付へ提出して中の待合室で順番を待つ。
 待合室は10名ほどが対面で座れるスペースがあり、テレビも置かれているが音声は消してあり字幕だけ。更衣室とトイレは通路の左右奥にあった。病院着の人も見受けられるが私服で外来の人の方が多い印象。
陽子線照射箇所の保護シール 待合室で座るとすぐに看護師さんが来て体温を測り体調をヒアリングチェックしてくれた。しばらくしてこの看護師さんが呼びに来てくれたので後についてガントリーと呼ばれる治療室に入る。入って上半身の着ているものを脱ぐと、胸と背中に陽子線の副作用をかなり防ぐことができるというシールを貼り付けてくれた。参考書類の青と紫の部分に集中して陽子線を照射するため表皮にも悪影響があるらしい。オイラの場合は肺ガンが転移していたため広範囲になっているが、人によって異なるだろう。
 手書きの注意書きに「シールを貼ってないところに1日2回保湿剤①治療前12時までに、治療の2時間前は塗布しない。②入浴後」とあるとおり、この日から毎日ローションを一日2回以上塗り、シールをその上からはらなけれがいけない。
 「治療の2時間前には塗布しない」とあるのは乾燥してなくてベタついていたりすると診療台や固定具が汚れるからだろう。この日は事前に病室で看護師さんが塗ってくれた。

いよいよ治療開始

 治療台に仰向けに寝るとまず両手を頭の上に持って行き、バンザイの格好でハンドルを握るよう言われた。ちょうど縄跳びを始める前の体勢だ。続いて前もって作られてた体型に合わせた固定具をかぶせられ、留め具で固定された。ん?結構きついぞこれは。少なくとも深呼吸はできない。が、浅い呼吸なら何とかなりそうだ。その姿勢のまま診療台がスルスルッと大きなドーナツ型の治療器の真下に送り込まれた。
 放射線技師や看護師が照射室から出てモニタールームに移るとスピーカーから「回りの機械が回りまーす」とアナウンスがあり、大きなドーナツがオイラのまわりでゴウンゴウンと回転して止まった。「今から始めます」といわれて間もなく「シュオンシュオン」とでも表現すれば良いのか分からないが、過去の人生で一度も経験したことのない音というか感覚なのか分からない変化が感じられた。胸の痛みとか違和感は全くない。この音というか初めての感じ方の原因を10日位あとで聞いてみたら「陽子線がぶつかっている音ではないか」と。
 10分ほどで「音」を感じなくなるとモニター室から出てきた技師さんが装置を回転させ、オイラから見て右横にドーナツと共に回ってきた箱の前面に付けてあったフタみたいな物を取り外し、違う物に取り替えた。ずいぶん重そうで取り付ける際にはガチャーンと音がする。ちょっと見では20~30センチの板状だが金色で真鍮しんちゅう製の板だ。しかも厚みは3センチはあろうかという結構重そうなシロモノ。その板が何というか岩手県のような形に切り抜かれている。どうやら陽子線が患部以外に当たらないように照射部分だけをレーザーか何かで切り抜いて作ったフィルターのようだ。
 この手順を3回行い(つまり3方向から陽子線を当てて)30分ほどで最初の治療はあっけなく終わった。

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